第15回定期大会     <<back next>>
 リストラ「合理化」反対、働くルールの確立

1.労働法制改悪反対のたたかい
(1)この1年、解雇の自由や金銭解決、裁量労働制や有期雇用、労働者派遣の大幅規制緩和、雇用保険の給付削減と負担増など、労働法制改悪とのたたかいが大きな課題となりました。全労連は、2002年の労働政策審議会での検討段階から連続して厚生労働省包囲行動など展開してきました。また、11月20日の学習決起集会では日本労働弁護団会長や連合選出の労働政策審議会委員、全労協議長が連帯あいさつするなど共同をつくりだしながら、全国にたたかいの強化をよびかけました。
(2)徳島労連は、春闘段階で2・20地域総行動などでの大量宣伝行動や「労働法制改悪反対国会請願署名」に取り組み、3・6春闘勝利決起集会でも改悪問題をあらためて学習し取り組み強化を確認してきました。国会審議にむけて厚生労働委員へのFAX要請など取り組むと同時に、ヤマ場を迎えた4月18日や5月21日には、JMIUなどが上京し、国会議員要請を行うなど取り組んできました。派遣法では、自民党の国会議員も「製造業に派遣労働者が入れば、技術の伝承がなくなり、技術力の低下で、日本のものづくりが危機的になる」として私たちの要請に賛同してくれる議員も現れました。労働法制改悪反対のたたかいは、社会保障や平和の問題などと違って労働者・労働組合がたたかわなければ誰もたたかってくれない課題であり、労働組合の最大の課題でなければならない問題です。しかし、今回のたたかいがそれにふさわしいものとなっていなかったのも事実です。全労連が提起した150万署名も、集約が22万筆と組合員の15%にしか過ぎなかったし、ストライキをかけてたたかったのもJMIUの70支部にとどまっており、韓国やヨーロッパのそれに比べると極めて位置づけや闘争態勢が弱いものといえます。
(3)結果的には、先の国会で改悪が強行されましたが、当初、政府案にあった使用者の解雇自由を明記した条項を削除させ、「解雇は、客観的かつ合理的な理由を欠き、社会通念情相当であると認められない場合は、その権利を乱用したものとして無効とする」とさせました。しかし、雇用契約の上限を1年から3年に延長する有期雇用制度の改悪、ホワイトカラー全般に適用を拡大し不払い残業を「合法化」する裁量労働制の要件緩和、製造業への派遣労働を解禁し派遣期間も1年から3年に上限延長するなど労働基準法・労働者派遣法が改悪されました。これらの改悪は、職場に大変な悪影響を与えます。
 しかし、「1年を超えて労働者派遣の役務の提供を受けようとする場合には、派遣先において労働組合等からの意見聴取が確実に行われ、意見が尊重されるよう派遣先に対する指導を強めること」やリストラ中や直後における派遣の規制など改悪に一定の歯止めをかける付帯決議も勝ち取っています。こうしたものを活用しながら、労働法制を職場に持ち込ませない取り組みを強めていくことが求められています。
 同時に、これからは、パートや派遣、有期雇用など不安定雇用労働者が急増してきます。そうした仲間との対話を強め、労働組合として、それらの仲間の雇用と権利をまもり、要求を掲げてたたかうなかで、不安定雇用労働者の組織化に本気になって取り組むことが求められています。
 また、雇用保険・基本手当の給付率下限を60%から50%に引き下げ、失業前の賃金が月額126,300円以上の受給者すべてが削減対象となる雇用保険法の改悪も強行されました。これによって、雇用保険料率は2年後に現行の1.4%から1.6%へ、その後1.8%まで引き上げ可能となりました。就職難で失業期間の長期化が問題になっているなかで、雇用保険の改善がいっそう大きな課題となっています。

2.リストラ「合理化」反対、雇用を守るたたかい
(1)99年に、企業のリストラ計画を政府が認定し減税などで支援する「産業再生法」の成立以降、3年半で7万5千人にのぼる人員削減が認定され、完全失業者は40万人以上増加しました。それにもかかわらず、先の国会で制度を拡大・延長する「産業再生法」が改悪され、国民の税金で企業再生を推進する「産業再生機構法」が強行されました。企業再編、生産拠点の海外移転,持株会社などによる企業再編に伴うリストラ・解雇など労働者への攻撃は、ILOなど国際労働基準から逸脱するばかりか、国内の現行法や判例法理、基本的人権をも無視した「ルール破り」となっています。
(2)サービス残業・過労死根絶のたたかいでは、厚生労働省「4・6通達」を職場・地域から積極的に活用し、サービス残業根絶の世論喚起と運動をつよめてきました。 全労連は、秋の「全国網の目キャラバン」での重点課題のひとつとして位置づけ、愛知での6億円をはじめ全国的な取り組みを通じて企業に81億円の未払い残業代を支払わせてきました。また、春闘のなかでは、武富士や社会福祉施設理事長の逮捕などサービス残業問題が大きくクローズアップされました。この間の職場・地域からの取り組みと世論化によって、厚生労働省にさらなる徹底をはかるための「5・23サービス残業総合対策要綱」とその具体化のための指針を出させる成果をあげました。
(3)地域経済を活性化するうえで、雇用や仕事の創出・確保は欠かせませんが、今日、新たな企業を誘致することは極めて困難ですし、大型公共工事は、莫大な負担の割に雇用は少なく、環境破壊のおまけ付きです。私たちは、自治体に対して生公連の仲間とともに大型公共工事から教育・福祉関連など生活密着型公共工事への転換を求めるとともに、秋のキャラバンでは「住宅リフォームの助成金制度や小規模工事登録制度」をかかげ徳島建労の仲間とともに、地元業者の仕事確保を求めました。とりわけ、昨年度実現した松茂町の「住宅リフォームで町内の業者を利用すれば経費の2割を補助」する制度を他町村にも広げることをめざしました。
 大田県政を実現し、地場産業優先の公共工事も期待できていましたが、再選できなかったことから、これらの運動をいっそう強化する必要があります。

1)NTT11万人リストラとのたたかい

(1)全労連は、「NTT11万人リストラ」とのたたかいを大企業の無法なリストラとの闘争の中心課題として位置づけ、闘争本部を設置するとともに全国で支援体制をとってきました。このようななかで?NTTリストラの違法・脱法の実態を職場から明らかにし、全国・地方のたたかいや国会闘争を通じて世論を広くまきおこしました。?やむを得ず退職・新会社再雇用の道を選択した組合員は、全員雇用を確保するとともに、新会社での新たなたたかいの地盤を築いてきました。?この闘争を通じて140人余の新しい組合員を迎え入れました。?違法・脱法の「50歳退職・賃下げ再雇用」を社会的に告発し、全国7カ所で地方裁判所に「配転無効裁判」を提訴してたたかってきています。
(2)徳島では、スト集会や統一行動での宣伝行動、支店への申し入れ行動を取り組むとともに、兵庫に配転された元支部長の「配転無効」裁判を支援することもあって、3月13日に「NTTリストラに反対する労働者を支援する徳島の会」を結成させました。60人が参加して結成されたこの「会」は、会長に県国公の黒川議長を選出し、50団体と300人の個人会員をめざしています。しかし、当事者が徳島にいないこともあって、会の活動は本格化していません。裁判闘争支援を軸にしながらもNTTの人権侵害を許さずこう共通しを守る運動として、今後の活動強化が求められます。

2)四国ジェイティエス電装の工場閉鎖とのたたかい

(1)四国ジェイティエス電装株式会社の会社解散・全員解雇の問題で、同社と親会社である日本たばこ産業株式会社並びに住友電装株式会社に対し、JMIU四国ジェイティエス電装支部が工場存続と雇用確保を求めてたたかっていた「四国JTS争議」は、提案から丁度1年になる今年7月3日に徳島地方裁判所において親会社も出席するなかで和解が成立し、闘争を終結することになりました。
 和解内容は、工場存続と雇用確保を求めてたたかってきた労働者にとって決して満足のいくものではありませんが、昨年7月の提案から今日までのたたかいのなかで、大企業による一方的な工場閉鎖に対し、一定の責任を果たさせたことは評価できるものです。
(2)今回の争議は、昨年7月4日に四国ジェイティエス電装が突然「来年3月末をもって会社を解散し、工場を閉鎖する」と発表したことにはじまります。今回の解散は「住友電装が国際競争に打ち勝つために行う国内生産体制の再編であって、四国ジェイティエス電装が赤字か黒字かの問題ではない」という大企業の極めて身勝手な行為でした。一方、そこに働く労働者に取っては、今日の雇用情勢のもと、とりわけ、池田町周辺に他に働く場所がないなかで工場閉鎖は死活の問題となっていました。また、地域の商店街や業者に与える影響も大きく、地域経済を守るうえからも工場存続の声が広がりました。
しかし、既存の労働組合であるJTグループユニオン四国JTS電装労組は、地域や労働者の思いに反し、会社の提案当初から工場閉鎖を容認しました。
 このようななかで、工場存続と雇用確保を求めて新たな労働組合=JMIU四国ジェイティエス電装支部を9月21日に結成し、たたかいがはじまりました。
(3)支部は、結成と同時に西部労連に加盟するとともに、地域の連合労組が加盟する西部地区労にも加盟、大企業相手のたたかいに連合労組が支援するという画期的なたたかいがすすめられました。11月15日には、池田町のへそっ子公園に600人が参加して住民集会が開催され、12月13日には池田町議会が「工場存続と雇用の確保を求める決議」を採択するなど町ぐるみのたたかいが前進しました。
 親会社であるJTや住友電装が団体交渉に応じないなかで、12月には労働委員会に団交拒否の不当労働行為で申立、1月末に契約社員の解雇が強行されるなかで、地位保全の仮処分を徳島地裁に申立て、法廷闘争もたたかってきました。
 また、1月24日に大型バスで東京のJT本社に抗議行動を展開したのを皮切りに金属反合共同行動に参加し毎月の本社行動を成功させてきました。
(4)このようななかで、女性ばかりの少数組合でしたが、労働者や町の声を代弁し、地域・全国の支援を受けながらがんばるなかで、?当初既存の労働組合が発表していた退職金を大幅に引き上げる回答を引き出してきたこと。?不十分ながら四国加工という四国ジェイティエス電装に代わる雇用の場を確保させるなどたたかいの成果をあげてきました。
 工場存続を実現することはできませんでしたが、大企業の一方的なリストラ「合理化」が横行するなかで、これを許さないたたかいのひとつとして、全国の労働者を激励し、企業に警鐘を与えたものといえます。経営者と御用組合が一体となって攻撃をくわえるなか、最後まで奮闘した4人の女性たちとそれを支えた家族の方々のご努力に敬意を表するものです。

3.民主的公務員制度確立に向けた取り組み
(1)政府が、通常国会に「公務員制度改革関連法案」の提出をめざして検討作業をすすめるもとで、全労連は昨年11月の歴史的・画期的なILO勧告をふまえ、?労働組合との交渉・協議にもとづいた労使合意のない法案の国会上程阻止?公務員の労働基本権確立などILO勧告にもとづく公務員制度の実現という2つの課題を柱にたたかいを強めました。行革推進事務局による4月下旬法案提出の動きに対して「全労連第5波統一行動」の一環に位置づけ、4月15日に緊急の中央行動を配置、行革推進事務局前の要求行動や総決起集会を開催し、全国から1000名の仲間が結集するもとで、一方的な閣議決定阻止、関連法案提出の断念を政府に迫りました。
 また、4・15中央行動における行革推進事務局長交渉では、?全労連を含む労働組合と誠心誠意話し合い、一致点を見出すために努力する?問答無用で法案提出を強行しない?労働基本権の議論を切り離さず、お互いに議論できる場をつくる?石原行革担当大臣を含む政府・行革推進事務局との交渉へ努力することを確認し、4月中の法案提出のねらいを押しとどめました。さらに、5月29日にも闘争本部による行動・交渉を配置するとともに「6・6中央行動」は公務・民間の1000名が参加する行動として成功させました。
(2)徳島県国公は、1月に行われた春闘討論集会のなかでも国立大学・病院の独立行政法人化問題など「改革」にたいする運動を「国民のなかに、国民とともに」をかかげてたたかうことを強調して取り組んできました。
 5月13日には「労働者の働くルールの確立と民主的公務員制度の確立をめざす全国キャラバン」が徳島入りし、県国公を中心に徳島労連傘下の労組から25名が参加して、宣伝行動や自治体・議会への要請や請願を行いました。宣伝行動では、昼休みには徳島大学医学部前でおこなうなど、国立大学の法人化問題を中心に市民や学生にその問題点を訴えました。議会への請願では、「公正・公平な公務員制度の確立を求める請願」「国民の教育権・生存権を保障する大学制度改革を求める請願」「国立病院の賃金職員雇用継承、看護体制の拡充を求める請願」の3点を行いました。板野町議会では国立病院の請願が決議されています。大学の独立法人化も強行されましたが、国民サービスを切り捨てる公務員改革であることを広く知らせ、国民いじめの「小泉流構造改革」反対と結んで、国民とともにたたかうことがますます重要となっています。 また、5月末に開催されたILO結社の自由委員会では、昨年の11月につづいて再び「労働基本権制約の維持」についての再考を求め、消防職員の団結権付与や一般職公務員の労働協約締結権保障にむけて、合意が得られるよう努力するべきとの勧告がおこなわれており、「ILO勧告守れ」との世論をひろげ、公務員労働者の労働基本権の確立、民主的公務員制度の実現めざして奮闘しなければなりません。

4.働くもののいのちと健康を守るたたかい
(1)リストラが横行するなか、人員削減で過重な労働がひろがり、ストレスがメンタルヘルスを悪化させ、自殺者も増加しています。そればかりか、ブリヂストンや新日鉄では大事故が発生し、新日鉄では今年になってすでに6人の労働者が事故で亡くなっています。先月に鳴門の高速道路でも早朝にトラックが居眠り運転で死亡事故をおこしていますが、運輸労働者の事故も多発しています。コスト削減を優先するばかりに、安全がおろそかになっている職場が急増しており、職場の安全衛生について点検を強化するなど労働組合としての取り組みを強化しなければなりません。過重労働を規制し健康で働き続けられる職場づくりにむけ、労働組合としてのメンタルヘルス対策にも「なくせ過労死センター」・「働くもののいのちと健康を守る全国センター」と連携しながら本格的な取り組みが求められます。
(2)「あやまれ、つぐなえ、なくせじん肺」をスローガンに建交労に結集してたたかってきたトンネルじん肺原告団のたたかいは、今年すべて和解が成立しました。これによってたたかいは、じん肺の根絶と補償基金の創設にむけて新たな段階に入りました。8月27日には「トンネルじん肺根絶徳島原告団」が26人で結成され、9月24日に国とゼネコンにじん肺を根絶するための法整備や被害者救済のための補償基金制度の創設などを求めて徳島地裁に集団提訴しました。
 建交労は、昨年の「人として生きる」の上映運動につづきじん肺根絶100万人署名に取り組んできましたが、「根絶」にむけていっそう強化が求められます。

5.国鉄闘争など労働争議と労働委員会の民主化
1)国鉄闘争
(1)この1年間、国鉄闘争は新たな局面を迎えています。第1は、昨年10月の全動労採用差別事件の東京高裁反動判決により舞台が最高裁へ移ったことです。判決は「国是」である国鉄分割民営化に反対した組合員への差別は不当労働行為に当たらないとする不当な内容であり、大企業や国家的リストラに反対することは許されないことになり、司法がリストラに手を貸すものとなっています。一方、判決は一連の国鉄採用差別事件で初めてJRの「使用者性」を認め、JR責任を追及するうえで新たな局面を切り開きました。こうしたもとで、最高裁への団体・個人署名を取り組んできました。第2は、国鉄闘争にさまざまな影響を与えてきた「4党合意」が事実上破綻し、共同の条件が大きく広がったことです。5月には大阪で国労・建交労・大阪労連主催の1000名集会が成功し、東京でも全動労弁護団と国労弁護団共催の討論集会が250名で成功しています。第3は、6月に新たなILO勧告が出され日本政府が国際的に追い詰められていることです。勧告は高裁判決について「国労及び全動労の民営化計画への反対がまさに再雇用を決定する一要因であったと裁定したことに留意する。委員会は結社の自由原則、すなわち採用における差別待遇の点から極めて重大な問題」と強調し、政府・関係当事者の公正な解決への努力を強く求めています。
(2)徳島労連は、この間、争議支援総行動や10月1日の賃金職員・NTTとの統一行動でJR四国徳島事務所や徳島企画部に松山駅の水本さんを職場に戻すことや国鉄闘争の早期解決を求め、全労連四国地区協の隔月本社行動にも結集して高松行動に参加してきました。また、これらのたたかいと結合し、JRの安全・サービス問題にも取り組んできました。

2)すべての争議勝利めざして
この間、徳島労連は、全国のたたかう仲間の支援を積極的に取り組んできました。とりわけ、団体署名などは130件を超えて全職場に協力を求めてきました。これらの取り組みは全国のたたかう仲間を激励し、そのたたかいを前進させる力となるとともに、県内の争議支援にも大きく反映し、四国JTSのたたかいでは、短時間に1600団体からの署名が寄せられています。
 四国の仲間では、愛媛の奥道後観光バスの解雇撤回闘争で、地位確認訴訟の裁判が地裁の勝利に続き、高裁でも全面勝利を勝ち取っています。会社は、職場復帰を認めず控訴していますが、たたかいは大きく前進しています。

3)鳴門市臨時職員正規化のたたかい
 鳴門市現業臨時職員の正規職員化を求めた裁判は、9月1日の第9回口頭弁論で結審し、11月28日に判決が下されるようになりました。
 徳島労連は、この間、毎回の裁判傍聴や裁判所への要請行動を取り組んできました。
 これまでの裁判の特徴として、ひとつは、鳴門市は「4年すれば正職員にする」との労使合意は否定していますが、これまですべての臨時職員は、4年経過して正規職員になっており、慣行となっていることが鳴門市の資料からも明らかになっています。二つ目には、現業臨時職員は、当初から正規職員として採用された者はいなく、必ず臨時職員として採用され、一定期間(3〜4年)経過後に正規職員化されてきており、正規職員になるためには、まず「臨時的任用」を受けるしか選択肢がなかったという実体が明らかになっていることです。このことからも、正規化要求の正しさが立証されています。
 地公法22条1項は、「臨時的任用は、6ヶ月から1年以内に終了する『臨時の職』についてのみ行うことができる」となっています。しかし、多くの自治体では「臨時的任用」を繰り返し、現実には正規職員と同様の業務に従事させるという地公法の趣旨に反する実体が存在し、「更新拒否」をめぐって争われています。
 今回の裁判は、これらの「更新拒否」の問題ではありませんが、地公法の趣旨に反する「臨時的任用」の取り扱いが正面から問われた裁判であり、この結果は全国的に影響を与えるものです。
 それだけに、判決までの期間に全力を挙げて裁判所要請や世論喚起に努める必要があります。

4)健祥会・西岡さんの不当解雇撤回闘争
 昨年11月、徳島地方労働委員会は、[1]西岡さんを原職に復帰させること[2]復帰するまでの賃金の支払い[3]謝罪文の手交を内容とした西岡さんと労働組合の主張を全面的に認める勝利命令を下しました。
 しかし、健祥会は、地労委命令を履行せず、中央労働委員会に再審査の申し立てを行い、あくまでも争う姿勢をとっています。
 昨年10月には、西岡さんも事態解決のために徳島地裁に地位確認の裁判をおこなっており、地裁と中労委の両方での争いとなりました。
 この間、徳島労連や「西岡さんを支援する会」は、労働委員会要請や裁判所に向けた署名や要請に取り組んできました。また、7月からは毎月1回の宣伝署名行動を開始しています。

5)労働委員会の民主化
 2002年11月の第27期中央労働委員会労働者委員の選任について、国営企業・独立行政法人担当委員に藤田忠弘氏(当時国公労連顧問)、民間企業担当委員に今井一雄氏(当時MIC議長・出版労連委員長)を推薦しましたが、政府はまたも連合推薦の候補のみ15名を任命しました。学者・弁護士アピールや7000を超える団体署名など、世論やILO勧告を全く無視したものです。ILOは、今年3月「第28期任命を機に、あるいはそれ以前に労働者委員の空席が生じた場合には日本政府が是正措置をとることを希望する」との是正勧告を行っています。
 一方この間、千葉、宮城で県労連推薦の候補が任命され、非連合の労働者委員は8地方10名となりました。また、福岡地裁は7月18日、福岡県労連などが提訴していた「福岡地方労働委員会第33期労働者委員の任命取り消し訴訟」の判決で「県労連推薦候補者を労働者委員から排除することを意図して、原告県労連に加盟する労働組合推薦の候補者であると言う理由だけで、労働者委員に任命しなかったと認めざるを得ない」とし「本件任命処分は、労組法上の労働者委員任命についての裁量権を逸脱したものである」として知事の裁量権逸脱を断罪しました。この種の裁判闘争では、愛知や千葉など前進していますが、知事の裁量権逸脱を認めたのは初めてであり、今後の委員任命に大きな影響を与える画期的勝利判決といえます。
 徳島県地方労働委員会第39期の労働者委員の任命にあたり徳島労連は女性部長である松田悦子氏を推薦しましたが、飯泉知事は連合独占の委員を選任しました。選任は、6月1日付けでおこなわれますが、今回の推薦から任命の期間は、知事選挙と言う状況でした。昨年の大田知事の誕生により、ワークシェアリング検討委員会や男女共同参画会議の委員に徳島労連の代表が選ばれてきました。労働委員会委員の問題でもこの間、知事との懇談の場で話し合われていただけに知事選挙の結果はここにも大きな影響を与えたといえます。補充選任がなければ次回の選任は、2005年となりますが、今から福岡地裁の判決など生かし公正な任命を勝ち取る運動が必要です。