第15回定期大会     <<back next>>
 国民的諸要求の実現をめざす運動

1.医療・年金改悪反対、社会保障拡充のたたかい
(1)この1年は、医療改悪阻止のたたかいが広がり、とりわけ、これまで自民党を支持してきた日本医師会など4師会と連帯した運動が国民世論を大きく結集しました。また、国会では4野党が共同で「凍結・2割に戻せ」の法案を提出、国民的議論をまきおこしました。自治体では、議会の意見書が22県419市町村議会で採択されました。さらに、年金の減額、介護保険料の値上げなど総額3兆円にのぼる予算削減反対のたたかいが中央・地方で展開されました。
 02年秋闘から03春闘を通じた10次にわたる国会座り込み行動にのべ3千人以上が参加、あわせて国会議員要請行動や厚生労働省交渉を実施してきました。また、4千人が参加した「2・3中央集会」とともに秋の全国キャラバン行動を展開し医療改悪反対の世論喚起とともに、介護保険料の単独減免を681自治体に拡大するなど前進を勝ち取ってきました。秋から取り組んだ国民負担増阻止の「全労連社会保障署名」は102万筆を集約しました。
(2)今国会で、4月の年金給付から物価スライド凍結を解除し、物価下落分(2002年0.9%減)を引き下げる年金改悪法案が強行されました。削減される給付額は、厚生年金・国民年金・共済年金で年額3710億円にのぼります。また、障害者福祉手当、母子家庭への児童扶養手当など各種手当も30億円減額されました。
 全労連は年金者組合などを中心に、全国規模による国会前座り込み行動、国会議員要請行動などを展開してたたかってきました。また、公的年金制度の創設・「最低保障年金制度」の確立にむけた検討を開始し、政策要求と運動方向について「6・13年金シンポジウム」を開催するなど、組織内外の意見集約をはかってきました。
介護保険制度についても、初の介護報酬の改定が4月1日から実施され、特養老人ホームなど入所系では平均3〜4%の引き下げが強行されました。また、訪問看護でも身体介護における上限設定、潜在型ホームヘルプサービスの収入減となる改定が行なわれ、介護労働者の身分や労働条件にも重大な影響を与える改悪です。
 全労連は福祉保育労などとともに、今回の介護報酬改定に対し国庫負担の増額によるサービスの充実、国民負担の軽減、利用料、保険料の減免基準の抜本改正などを求めて運動を展開してきました。
(3)徳島労連は、昨年11月に実施したキャラバン行動で、全自治体に、年金・医療・介護など社会保障の充実を求める要請や共同を申し入れ、とりわけ、健康保険法改定にともなう償還払いについて該当者への通知や事務の簡素化を求めました。議会には、「医療改悪の実施を凍結し見直しを国に求める請願」や「年金改悪反対の請願」「消費税増税反対、3%に戻せの請願」などを行いました。また、徳島建労では、国保財政への県費助成について全自治体の賛同署名を取り組みました。同時にキャラバン行動の一環として行われた、労組訪問活動のなかでも社会保障署名の協力を求め、連合労組の協力も得てきました。
 2月段階では、医労連が県医師会・栄養士会・歯科医師会・看護協会などに健保3割負担凍結・見直しの共同の申し入れを行いました。それぞれ、これまでの対応とは違い、県組織ではすべてのところが会長が対応し、新聞に意見広告を掲載したことなど共感や取り組みの交流ができました。
 2月20日の地域総行動の日には、「医療改悪ストップ2・20集会」とデモが行われ、120人が参加しました。その後も、国会要請や座り込み行動に年金者組合や医労連を中心に各産別が上京して中央行動を成功させてきました。年金改悪も具体化されるなかで、この秋からのたたかいがいっそう重要となります。
(3)公的年金の資金運用に失敗し6兆円の累積損を出したことやリストラの推進で収入が減少したことには目をつぶり社会保障の財源を口実に、消費税の大増税をすすめようとしています。徳島労連はこの間、消費税廃止各界連絡会に結集し、毎月24日の宣伝行動や市町村議会への陳情・請願、署名行動等に参加してきましたが、10%を超える大増税が強行されようとしているもとであらためて運動を強化する必要があります。

2.民主教育の確立など
(1)政府・与党は、教育基本法の全分野基本理念に「国を愛する心」を盛り込むとした3月の中央教育審議会の答申を受けて、教育基本法改悪案を国会に上程する動きを強めてきました。また「教育振興基本計画」の策定を教育基本法に加え、教育基本法では禁じられている教育への「不当な支配」に乗り出しました。さらに、義務教育費国庫負担制度の廃止を打ち出し、財政力のない市町村に住んでいても全国同じ条件で教育が受けられる権利を制限する攻撃を強めてきています。
 全労連は、こうした教育の反動化に反対し、全教を中心に中央・地方で運動に取り組んできました。全教などが実施した教育基本法「改正」の是非を問う全国教職員投票では、全国から16400校13万5千人が参加し、8割が反対の意思表示を行いました。
(2)政府は、大学の研究に国の統制を強め、憲法が補償する学問の自由を脅かす国立大学法人法を国会に上程し、これに反対する国民世論と大学現場からの運動が高まるなかで、23項目もの付帯決議がつく異常な事態のなかで強行しました。全労連は、全教や全大教の呼びかけに対応し、「国立大学法人化・教員養成学部の統廃合問題懇談会」へ参加、集会や国会請願デモなど、学問と教育の自由を守り地域社会に貢献する大学づくりをめざす運動に全国で取り組みました。
 徳島労連も全国キャラバン行動で、この問題を国公の仲間と取り組んできました。
(3)食料の安全を守る運動では、全国食健連の要請を受けてBSE対策新法に基づく生産者、流通業者への被害・損害補償の充実、食品の安全性を求める運動に取り組んできました。今年は冷夏による凶作が決定的です。国民がパニックに陥らないように10年前の教訓を生かして、国と自治体が万全な対策を取ることが求められています。同時に、政府がすすめている、お米を市場原理・自由競争に委ねて国が責任を放棄する「米改革」は、この不作ひとつでも破綻せざるを得ないことを浮き彫りにしています。徳島の食農懇も、収穫祭だけでなくグリーンウェーブなどのこうした行動や取り組みに力を入れることが求められています。