第15回定期大会     <<back next>>
 4.03秋闘における統一行動の展開

1)年金改悪・大増税反対、雇用と地域経済を守れ、国政転換全国キャラバンと国政転換・要求実現、全国47都道府県100万人集会の開催について
 全国各地で、深刻な倒産・失業、生活・健康破壊、地域経済の崩壊がすすむなか、政局は10月解散・11月総選挙にむかって一挙に走り出しました。その背景には、これから年金の大改悪や消費税の大増税計画が明らかになり、戦闘状況の続くイラクへの自衛隊派兵などで、小泉政権に対する国民の怒りが爆発する前に選挙に打って出ようとする自民党、公明党などの思惑が働いています。徳島労連は、情勢を主体的に切り開き、あらゆる社会勢力との共同を築いて、「雇用とくらし、いのちと平和を守る03秋闘」をたたかいぬきます。
 03秋闘における全国統一行動として、全労連は、「年金改悪・大増税反対、雇用と地域経済を守れ、国政転換03秋の全国キャラバン行動」(略称・国政転換全国キャラバン)並びに「全国100万人集会」を提起しています。
 徳島労連は、全労連の提起する「国政転換全国キャラバン行動」と「全国100万集会」について、徳島県社会保障推進協議会や民主諸団体と共同し、以下のとおり具体化を図ります。
 (1)平和・くらし・いのち・仕事を守る10・21徳島県集会を開催します。
 安保廃棄徳島県実行委員会、国民大運動実行委員会、県社保協・徳島労連の四団体の共催による、「県民大集会」を開催し、平和とくらしを守る要求を総結集し国政転換と結合した決起集会を開催します。
   日時  10月21日(火)午後七時開会
   会場  徳島県農協会館別館大ホール(北佐古二番町)
 (2)03秋の自治体キャラバン
11月17日(月)より21日(金)にかけて県内全自治体・議会に訪問要請行動を行います。また、県に対する要請を実施します。
 ?合わせて、中小企業、農畜産業者、老人クラブ、労働組合への訪問・要請・懇談を共通の行動内容とし、11月上旬に計画を策定して実施します。
 ?年金学習会を県社保協とともに開催します。

2)ストライキをふくむ全国統一行動と04春闘年金・反増税ストの準備
 年末一時金をはじめとする秋闘要求の前進をめざし、11月中旬(19日予定)にストライキ、職場集会などの「全国統一行動」を配置します。職場からの全組合員の意思統一、地域の支援を強めながらすべての労働組合が決起することを何よりも重視する。同時に統一行動の一環として、「年金大改悪阻止」「消費税などの大増税阻止」などの課題で地域や街頭の宣伝行動を計画します。
 04春闘では、通常国会での法改悪をともなう年金大改悪、消費税などの庶民大増税が、最大の国民的対決点なります。04春闘で大規模な国民的ストライキを展開することを計画し、職場討議と準備をすすめつつ地域の共同を広げていきます。
 03秋闘で、各団体は社保協の年金改悪反対署名、消費税廃止各界連絡会の消費税増税反対署名など、それぞれの課題での署名を提起してきますが、徳島労連は、全労連が提起する国民的対決の軸として年金改悪反対と消費税増税反対の2項目で、500万筆を目標に署名運動にとりくみます。


 資料<第15回徳島労連定期大会付属議案> 21世紀の新しい国民春闘の前進にむけて

はじめに
 第20回定期大会は、幹事会のもとに「賃金委員会」を設置し、?春闘の歴史と到達点を明らかにすること、?全労連としての賃金要求のあり方を整理すること、?最低賃金やパート均等待遇の運動強化の具体化をはかること、?要求アンケートの実施・集約方法などの再検討をすすめ、国民春闘の新たな前進方向を打ち出すことを確認した。 この大会確認にもとづき、21世紀の新しい国民春闘にむけた検討課題を提起し、積極的な討議を呼びかける。
 この「付属議案」は、春闘のたたかう歴史と伝統を受け継ぎ今日情勢にふさわしい統一闘争として発展させることをめざすものである。提起した検討課題については、単産・地方組織における討議をすすめながら、幹事会や「賃金委員会」でさらに方針の具体化をはかり04春闘から順次実践していくものとする。

1.春闘の歴史と到達点
 日本の労働組合が、わが国独特の賃金闘争である春闘を開始して48年が経過した。この間、1955年から70年代前半までは対米従属のもとでの日本独占資本の復活・強化の過程であり、世界的にも稀な高度成長が続いてきた。労働組合は、経済成長期における生産の持続的拡大を利用して賃金闘争をたたかい、名目賃金は1955年から74年までの19年間に年平均で11.8%上昇し、消費者物価の上昇を割り引いた実質でも年率5.7%の賃上げを実現してきた。
 また春闘は、労働組合運動の高揚や民主勢力の前進ともあいまって、賃上げと制度的課題を結合してたたかわれるように発展してきた。そして、1970年の「15大要求」をかかげた国民生活闘争に始まり、72年の物価スト、73年の年金ストを経て、国民春闘路線が定着してきた。とりわけ、74年春闘では「インフレ共闘」を組織して史上最大規模のストライキを決行し、国民的な支持のもとに平均32.9%の大幅賃上げをかちとるなどの成果をあげた。
 しかし、1973年の世界的な「石油危機」を契機に日本経済も長期不況の局面に入った。これに危機感をつのらせた財界は、74年から「大幅賃上げの行方研究委員会」を設置して本格的な春闘攻撃に乗り出した。75年には、「賃金ガイドライン」を設定して政府と一体となった賃金抑制政策を開始し、76年春闘からは、JC関係の4業種・2社・8人の労務担当で構成する「8社懇」の談合による回答方式を押しつけてきた。
 これに対して、当時の金属労協(JC)や同盟は労資一体で賃上げ抑制をすすめる姿勢をとった。さらに「臨調・行革路線」が本格化する1980年代に入ると、人勧凍結ともあいまって春闘は毎年一ケタ台の賃上げ率に抑えられてきた。そして、賃上げ額が経営側と労組幹部との協調路線によって決定される「管理春闘」が定着し、JC回答→公益企業→中小企業→公労協→中小零細企業→地域最賃→公務員という低賃金決定パターンがおしつけられてきたのである。
 1990年代に入ると、財界は「新日本的経営システム」を打ちだし、終身雇用制や年功序列賃金の廃止、能力主義賃金への移行など、総額人件費の抑制を徹底してきた。横並び賃上げ方式を否定し、賃金交渉は個々の企業の業績に応じて対応するという分断攻撃である。日経連は、「毎年一度、労使が国際環境、経済、経営など広範な問題を協議するのは日本社会に重要なチャンスを提供している」などと、露骨な春闘「変質」攻撃にのりだした。
 21世紀に入った春闘は、賃上げどころか賃下げ、定昇凍結・廃止、一時金の削減、諸手当の廃止などの攻撃が全産業で強まっている。02春闘では、人事院勧告も本俸マイナス勧告とともに違法な不利益遡及までも強行された。春闘が賃金体系の改悪や「合理化」に協力するための場に利用される危険が高まっている。

2.全労連が果たしてきた役割
 全労連は、国民春闘の発展にとって次のような役割を果たしてきた。第一は、財界の賃金抑制攻撃と大企業労組などによる「賃金自粛」「管理春闘」にくみせず、生活と労働の実態にもとづく大幅賃上げ要求をかかげ、広範な労働者を激励してきたことである。職場闘争の強化と結合して大企業の内部留保を国民に明らかにし、社会的にたたかう春闘を展開してきた。
 第二に、産業政策や中小企業政策を明らかにして、産業別統一闘争を前進させてきたことである。建交労は労使双方の権利の相互尊重、運輸行政の民主化を追求しながら、集団交渉・集団協定を前進させてきた。全国一般は全国一律最賃制の確立と結合した賃金闘争を一貫して追求してきた。全印総連は自治体の発注単価の引き上げと結合した賃金闘争にとりくんできた。自交総連はタクシー運賃改定にあたって労働者の処遇改善通達を出させてきた。
 日本医労連は看護婦確保法を制定させ、産業横断的な賃金水準の確立を前進させてきた。JMIUは産別団交の展開などによって、企業をのりこえた賃上げ水準を形成してきた。生協労連はセ・パ両リーグのたたかいを重視し、パート労働者の賃金引き上げを前進させてきた。自治労連は住民要求の実現、地方自治の確立と結合した賃金確定闘争をたたかい、国公労連は全労連の「ビクトリーマップ」の作成に貢献するなど、賃金闘争を社会的に前進させる役割を果たしてきた。
 第三に、過労死をうみだす長時間・過密労働を告発し、「整理解雇4要件」を認知させるとともに、日産やNTTの「拠点闘争」でリストラ反対闘争の新たな方向を切り開いてきた。労働法制改悪反対では連合、中立をふくむ共同を前進させ、サービス残業の根絶や地域雇用創出基金の運動でも、全労連要求を反映させる到達点を築いてきた。
 第四に、すべての国民要求と結合した春闘を発展させてきたことである。医療、福祉、年金改悪に反対するたたかいや不況打開・地域経済を守る運動、消費税の導入反対、農業と食糧、自然環境を守るとりくみなどをはじめ、常に国民の先頭に立って奮闘してきた。また、2000年春闘から列島騒然地域総行動を展開するとともに、02春闘からは「国民総決起春闘」を呼びかけ、全国各地から住民ぐるみの要求運動を盛り上げ、国民春闘路線を発展させてきた。
 第五は、地域からのたたかいを重視してきたことである。地域最低賃金の改善、「誰でもどこでも時給1,000円以上」などをかかげた宣伝と労組・事業所・自治体訪問などは、地域春闘という新たな形態の春闘方向を切り開いてきたといえる。また地域春闘は、労働組合と住民団体との共同、平和と民主主義を守るたたかい、地方政治の革新をめざすとりくみと結合して、国民春闘の重要な一翼を担ってきた。

3.21世紀の新しい国民春闘への方向
「春闘解体」攻撃と「企業内主義」の克服
 日本経団連の経営労働政策委員会報告は、「企業の競争力の維持・強化のためにはこれ以上の名目賃金の引き上げは困難であり、ベースアップは論外である。労組が賃上げ要求を掲げ、実力行使を背景に社会的横断化を意図して闘う春闘は大勢においては終焉した。これからは闘う春闘ではなく、討議し検討する春討の色彩が強まる」と、春闘解体を露骨に宣言している。
 しかし、こうした攻撃にもかかわらず春闘は依然として労働者の要求実現をめざす統一闘争の環として存在している。経団連も「闘う春闘は大勢において終焉した」として、「大勢」とは別にたたかう春闘が存在していることを認めざるをえない。大企業労組が賃上げ要求を断念していることも、全労連の社会的役割をますます高めている。春闘の歴史と到達点をふまえつつ、政府・財界の攻撃に対応した大胆な春闘「改革」を追求することが求められている。
 財界の「春闘解体」攻撃を打ち破って、新しい国民春闘の方向を切りひらいていく土台は、労働組合の「企業内主義」を克服することにある。政府・財界の系統的で全面的な攻撃を打ち破って要求を前進させるには、個々の企業や産業での闘争を強化するだけでなく、社会的力関係を変えていくたたかいを発展させる必要があるからである。単産の独自性とともに春闘全体を視野に入れた「改革」が重要である。

「国民総決起春闘」「地域春闘」のさらなる追求
 21世紀の新しい春闘の前進にむけた課題の第一は、国民総ぐるみによる「市民型春闘」の追求である。今日、労働者をはじめ中小企業・業者、農民、市民など、あらゆる国民に政府・財界の新たな収奪が襲いかかっているなかで、国民総ぐるみ春闘をたたかう客観的条件は成熟している。労働者の最低賃金と下請け単価や農産物価格保障、最低保障年金、生活保護基準、失業者給付など、全国民の所得保障闘争と結合した春闘にとりくむことが期待されている。
 また、労働者にとって個人の努力や企業内の交渉だけでは解決しきれない医療、年金、介護、教育、子育て、文化、自然環境、街づくりなどの社会問題が広がっている。しかし日本の労働組合は、これまで企業や産別の枠をこえた地域からの運動を前進させることはきわめて不十分であった。全労連が2002年春闘から呼びかけた国民総決起春闘の提起は、こうした弱点を克服して「住民総ぐるみ」の春闘に挑戦しようとしたものである。
 春闘を国民総ぐるみの運動として前進させるために、労働組合は産別レベルで討議を集約する統一要求とともに、地域を基点とした「市民的目線」による要求を積極的にとりあげていくことが必要である。統一行動についても、これまで「タテ型指令」に偏重しがちであった統一闘争の形態を見直し、住民団体やNGOなどとも連携してその実現をめざす「地域総行動」をさらに発展させることが期待されている。

単産の機能強化と全労連の役割
 第二は、産業全体の春闘に影響力を行使できる単産力量を確立することである。全労連の単産は、これまでも医療、マスコミなどでは産業全体の相場をリードし、競合する単産が存在する産業においても連合を上回る賃上げを確保してきた。しかし、全体としては組織力量の不十分さもあって全産業的な影響力を発揮できずにいる。また、労働組合の社会的影響力の後退、職場闘争の「空洞化」が指摘されるなかで、これを克服するための日常活動の再点検とあわせて、産業別組織の再構築をふくむ大胆な「組織改革」の検討に踏み出す時代を迎えている。
 単産には、その産業で働く労働者の社会的役割にふさわしい横断的賃金を確立する役割があり、そのための産別統一闘争をいっそう強化しなければならない。同時に、労働者の要求実現と企業の健全な発展を統一的に追求する「提案型」春闘を本格的に追求することが重要である。また企業内だけでなく、中小企業全体をまきこんだ春闘をめざし税金や融資、中退金制度の拡充など、政府・自治体への政策要求と結合した春闘の追求が求められる。
 全労連には、産別と地方・地域のたたかいを調整し統一するとともに、未組織を含む圧倒的多数の労働者の支持と共感を呼びおこし、国民的連帯を結集する要求と運動を組織していく役割と任務がある。

最低賃金闘争とパート均等待遇の本格的な強化
 第三は、最低賃金の改善と確立、パート均等待遇の実現、失業者に対する生活保障などに本格的にとりくむことである。労働組合組織率が20.2%に低下し、組織されたすべての労働者が春闘に立ち上がっても8割の仲間は春闘に参加しない。とりわけ、中小零細企業で働く労働者や急増するパート、フリーター、臨時などの圧倒的多数は、労働組合に参加していない。政府・財界の攻撃によって最も苦しめられている労働者の実態を直視し、「誰でも○以上の賃上げ」「パート時間給の引き上げ」などの要求をかかげ、すべての労働者を視野に入れた春闘を軸に据えることが求められる。
 現行最賃違反さえ横行する実態のなかで、労働者とすべての国民の生活擁護、景気回復・日本経済の活性化にとって、最低賃金制度のもつ社会的役割と重要性をアピールし、全労連の賃金闘争の軸に据えて本格的な前進をめざす。パート時間給の改善では、各地の地域時給マップを作成して社会的アピールをはかりながら、単産・地域が一体となった運動を強める。国・自治体関連業務に働く非常勤職員の処遇改善運動にとりくむことや、公契約・リビングウェイジ運動を全国的に展開することも緊急の課題である。

要求確立の徹底と大企業の社会的責任の追及
 第四は、大企業の社会的責任を追及する春闘をたたかうこと、そのためにも、全労連に結集するすべての組合が春闘要求をかかげ、個別企業における職場闘争と政府・財界に対するたたかいをしっかりと結合することである。
 大企業が、「今後の労使交渉の課題は企業の生き残りを可能にする人件費の効率化、生産効率の向上を労使で徹底的に論議することである」と企業内組合を恫喝するもとで、一部労働組合は「経営環境がきびしいなかで企業の雇用維持・確保には困難があり、雇用に関するコスト削減が重要だ」として、春闘要求の提出さえ見送ろうとしている。今こそ、全労連のすべての組合が要求をかかげてたたかうことこそ、春闘活性化の土台である。
 トヨタ自動車は、03年度決算で1兆5千億円にのぼる史上最高の経常利益をあげながら、労使一体でベアゼロ春闘や定昇制度廃止の方向に踏み出し、見かえりとして6万円の「業績手当」を分配している。トヨタのみならず、電機、自動車など製造業を中心に大企業の業績はV字回復しているが、労働者の賃下げ、中小企業への下請け単価の切り下げ、税金や社会保険料の負担削減などの反社会的姿勢をいっそう鮮明にしている。「大企業内部留保の社会的還元」のスローガンを堅持し、社会的責任を追及していく。

年間を通した賃金統一闘争の探求
 第五は、年間を通した賃金闘争の展開である。定昇凍結や春闘での賃上げを一時金削減でとり戻す経営者の攻撃、地域最低賃金の引き下げやマイナス人勧など政府の攻撃があいまって、通年的な賃下げ悪循環が進行している。
 これに対して、労働組合の賃金闘争の現状は3〜4月の民間労働者の賃金闘争、5〜7月にヤマ場を迎える最低賃金闘争、7〜8月の人事院勧告期のとりくみ、秋の公契約運動や自治体労働者の賃金確定闘争などがたたかわれている。春闘それ自体の強化とともに年間を通した賃金の統一闘争の探求が必要になっている。